SSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)

 セロトニンは神経細胞内で作られ,神経伝達物質として放出されると同時に,同じ神経細胞に再度取り込まるという性質があります.正常であればこのバランスが保たれているのですが,うつ病パニック障害などでセロトニンが低下してくるとバランスが崩れ,思考面や感情面で様々な症状を引き起こします.

 抗うつ薬を使うことで,ストレスによって脳内のセロトニンなどが減少するのを防いでいきます.そして神経伝達をスムーズに行い,服薬を続けていくことで,神経伝達物質の機能が正常化し,症状が改善されていきます.

 パキシルなどのSSRIが他の抗うつ薬と大きく違うところは,セロトニンにのみ作用することです.従来の薬はうつ病以外にも作用する為,副作用が出る場合が多かったのですが,従来に比べ副作用が少なくて服用しやすいことで注目されています.

 現時点(2007年12月)で日本で認可されているSSRIは,デプロメール,ルボックスパキシルジェイゾロフトです.


 なお,2006年02月09日の朝日新聞が,『抗うつ薬「SSRI」,妊婦は注意 子に呼吸障害の恐れ』という記事を掲載しました.この報道以降に日本でも,SSRIなどに自殺助長の副作用があるようだ・・・というニュースもあり,特に子供(未成年)や患者さんの症状によっては,投与・使用は慎重にすべきという論調もありました.これらの情報源・クローズアップされたきっかけは,主にアメリカでの研究結果が発端なのですが,風邪薬にしろ抗うつ薬にしろ何らかの副作用はあるものです.基本的に妊娠・出産の時期や低年齢層・高齢者の患者さんには,作用の強めの向精神薬は減薬・断薬したり選定薬から外し,弱めの作用の代用薬にスライドするなど,患者さんの状況に応じて治療方針を模索するのが普通と考えて良いでしょう.

心の病(精神科)に限る問題ではありません.
要は患者といっても,それぞれの薬の特徴・作用・副作用を各自でチェックしていくことが重要です.
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